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世界のじゃがいも料理 南米ペルーからヨーロッパ、アジアへ。郷土色あふれる100のレシピ


誠文堂新光社(編)
誠文堂新光社

★★★★☆


 どれから作ろうかと、食べたい料理に付箋を貼っていたら、真新しい付箋を一綴全部使ってしまった。本がハリネズミみたいになった。

 この本では、「紀元前に南米アンデスで生まれ、16世紀にヨーロッパへ渡り、世界各地へと広まったじゃがいも」が、世界中で「どのように料理されているのか」が、「伝統料理を中心に」まとめられている。

 試しにパンケーキだけを取り出してみても、アイルランドの「ボクスティ」、ドイツの「ライベクーヘン」、ベラルーシ(一人当たりジャガイモ消費量世界一!)の「ドラニキ」、チェコの「ブランボラーク」、インドの「アル・ティッキ」、韓国の「カムジャジョン」、北海道の「いも餅」など、甘いのから辛いの、サクサクからもちもち、ガラムマサラからアップルソースと多種多様。
このような、ゆでてつぶすか、すりおろすかして、後は焼くだけというシンプルな料理でも、地理的な広がりに応じて、これほど多種多様な世界を紡ぎ得るのだ、ということを、しみじみ感じさせてくれる。

 ……食品大手の世界展開による食文化の標準化の波(グローバリゼーション)からも、このじゃがいも料理の土着ゲリラなら、身をよじって逃げ切れるのではないだろうか、などという蒙昧な発想が脳裏をふと過ぎり、やがて、待てよ、と立ち止まった。
このじゃがいも自体が、元祖グローバリゼーションとも言うべき大航海時代に、多くの文化を絶滅させたコロンブス交換の賜物ではなかったか!

 トウモロコシ、ジャガイモ、トマト、チョコレート、バニラ……、所詮、旧世界の我々にとっては、長くても五百年の伝統しか持たない舶来物に過ぎず、どちらかと言えば既存文化を破壊した側の食べ物なのだ。
しかし、だからこそ、五百年かけて、一度標準化された旧世界・新世界の生活様式が、色とりどりな世界を再び織り成していることに――そして、それをもたらした世界各地の食文化の底力に――、素直に感動したい。

 美しい料理の写真を眺めているだけで、お腹が鳴って、よだれが垂れそうな、ジャガイモ好き必携の本。
U.U.
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