Valleri ("The Birds, The Bees & The Monkees") |
| The Monkees |
| Label: Colgems Records |
| Release: 1968 |
| ★★★★☆ |
| モンキーズ1968年2月17日リリースのシングルで、5枚目のスタジオアルバム『小鳥と蜂とモンキーズ(The Birds,The Bees and The Monkees)』(1968年4月22日リリース)の11曲目。Tommy BoyceとBobby Hartの作品で、Billboard Hot 100の第3位、Cash Boxで2週連続第1位、カナダでも第1位、UKでは第12位を獲得した。 She's the same little girl who used to hang around my door 一体、何を目的に、誰に向かってこんなことシャウトをしているのか? 例えば、放課後の夕日に燃える教室に不意にほとばしる情熱か! そうだとしたら、彼は「今」「ここ」をないがしろにし過ぎている。男女を問わず面前でこの叫びを聞かされる身にもなって欲しいわけで、 全く共感出来ない、真顔で頷きながら、内心呆れ返る以外打つ手があるだろうか? 友達でさえなければ、「おいおい、みっともないからそんなことを大声で叫ぶのは止めろ」と注意されても仕方がないと心得よ (*1)。 そう、すてきなヴァレリはここにはいない……不在の恋人、これは流行歌の定石を遠く離れ、直接的な恋愛そっちのけで、それを取り巻く社会を歌っているのだ (しかし、この現象は、山東京伝『江戸生艶気樺焼』でも確認されており、案外ポピュラーな手法なのかも知れない)。 兎も角、サビの「I love her」のリフレーンを耳にした時の不安定感は、私にロラン・バルトの「Je-t-aime」に関する断章を想起させる。 (…)したがって、「わたしは・あなたを・愛しています Je-t-aime」は、たとえばハンガリー語の szeretlek のように、ただの一語として聴きとれられる(ここでは読みとられる)べきなのだ。(…)このかたまりは、ほんのわずかな統辞上の変化があっても崩壊してしまう。 (…)わたしが幾日 Je-t-aime を言いつづけたとしても、けっして Je l’aime(わたしはあの人を愛している)へ移ることはないだろう。 余談だが、戦争中に江戸に留学していた石川淳の顰に倣い、長らく1960年代に留学し、『1968/7 VOL.1 NO.2 明星ヤングセンス夏号 夏のギター教室』でギターを学んだヤングセンス満点の当方としては、 一度も原曲を聴いたことがないまま、この曲の弾き語りを試みていたもので、そうそうCDは買えるものではなかったし、ましてや、意味不明なまでのストイシズムからビーチボーイズでさえこそこそ聴いていたのだから、 「商業主義そのもの」といったモンキーズなど入手しようもなかったのだが、老いさらばえ図書館でCDを借りて初めて聴いた時には、常々口ずさんでいたのとあまりにも違う曲だったので、 ただでさえ季節の替り目にはコルセットが外せない腰が抜けそうになったものである。 (*1) 勿論、「I love her」の連呼を聞かされているのが「親友」と呼ばれる勝気な女の子だった場合は、別の凡庸な物語を孕んでもいよう。 U.U.
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