超男性 |
| アルフレッド・ジャリ(著) |
| 渋澤龍彦(訳) |
| 白水uブックス |
| ★★★★★ |
1902年に刊行されたアルフレッド・ジャリ(1783-1907)の『超男性、現代小説(Le Surmâle, roman moderne)』は、 超男性マルクイユの力量計との勝負、五人乗り自転車で機関車に挑む一万マイル競争、 エレンとマルクイユの愛(82回/24時間)、そして愛情を吹き込む機械との最後の戦いが記された素晴らしい書物である。 有名な冒頭のマルクイユの科白、 「恋愛なんて取るに足らない行為ですよ。際限なく繰り返すことができるんですからね。」(p.7) を始め、 というのは、右側と左側のあいだにもう一つの方向、上向きという方向があったからである。(p.35) とか、 力量計には、縦に入った裂け目が光っていた。 とか、 死んだジェイコブズのスプリントは、生きている者にはとても考えられないようなスプリントであった。(p.85) とか、惚れ惚れするような文章に満ちている。 しかし、それにしても、「(…)群衆のなかにまぎれこむのに、アンドレ・マルクイユほどの巧妙さを発揮する者はあるまい。 環境との適合、『擬態』こそ、生命維持の法則である。自分より弱い者を殺すよりも、彼らの真似をする方がはるかに安全である。」(p.37-38) に続けて、「生き残る者は強者ではない。なぜなら強者は孤独だからだ。」(p.38)と力強くニリヒズムを説かれても、 「『あなたは誰です、人間ですか?』」(p.149)と問うより他しようがない。だって、結局、マルクイユ、生き残れなかったし。 JARRY (Alfred), Laval 1873 - Paris 1907, (Le Petit Larousse Illustré "JARRY") U.U.
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